さて、前回の夏バテ体質チェック、お試しいただきましたでしょうか？今回の投稿はその漢方的な解説です。
🌿Aタイプ：脾胃虚弱（ひいきょじゃく）タイプ
「冷え・湿気に弱く、胃腸機能が落ちて起こる夏バテ」
🍩背景・原因（中医学的解釈）
「脾」は飲食物を消化・吸収し、「気・血・津液（しんえき）」を生み出す中枢的な臓腑。
湿気（＝湿邪）や冷飲食、冷房のあたりすぎによって「脾」がダメージを受けやすい。
脾は「適度な乾燥」と「温かさ」を好み、「湿」と「冷え」を嫌う。
➡ 夏の高湿度＋冷たいものの摂取で、脾の運化機能（栄養・水分の運搬）が低下
→ 水分代謝が滞り、むくみや倦怠感、食欲不振が出る。
🔎 典型的な症状例
朝から体が重だるい（特に下半身）
お腹の張り、食後の眠気
冷たいものを摂るとすぐ下痢・軟便
舌：白っぽくて腫れぼったく、苔がべったり（湿邪）
🩺 適した漢方処方（例）
六君子湯（りっくんしとう）
→ 脾胃虚弱＋胃内停水タイプ
平胃散（へいいさん）＋補剤
→ 湿が強い人、下痢気味の人に
香砂六君子湯：胃腸虚弱＋吐き気・食欲不振を伴う方に
🍽 おすすめ食材と食養生
かぼちゃ、長芋、とうもろこし、はとむぎ、なつめ、山芋
朝は温かいお粥＋梅干し
冷たいものは「口に含んでから飲む」くらいの慎重さを
🌿Bタイプ：気虚（ききょ）タイプ
「汗とともに“気”を消耗して、疲れやすくなる夏バテ」
🎈背景・原因
「気」は体のエネルギー。肺・脾・腎で生み出され、全身を巡る。
夏は「暑邪」と「発汗」で、気が外に漏れやすい季節。
とくに体質的に元々“気が少ない（気虚）”人は、夏バテの影響を強く受ける。
➡「気」の不足で、全身の活動力が低下 → 疲れやすい・立ちくらみ・やる気が出ない状態に。
🔎 典型的な症状例
立ちくらみ、食後にぐったり
声が小さく、話すのが億劫
少し動いただけで動悸・汗
舌：淡くて歯痕あり（脾気虚、水滞のサイン）
🩺 適した漢方処方（例）
補中益気湯（ほちゅうえっきとう）
→ 全身倦怠・だるさ・気力低下
十全大補湯（じゅうぜんたいほとう）
→ 血虚も伴う虚弱体質の夏バテ
人参養栄湯：高齢者や疲れの回復が遅い人に
🍽 食養生・生活習慣
気を補う食材：もち米、鶏肉、にんじん、じゃがいも、はとむぎ、山芋、高麗人参
「朝ごはん」は最重要：気を補うスタート
気の巡りを整える：呼吸法・ゆったりした散歩・昼寝（20分以内）もおすすめ
🌿Cタイプ：陰虚×内熱（いんきょ・ないねつ）タイプ
「体の潤い不足と内熱で、火照り・不眠・イライラが出る夏バテ」
🎈背景・原因
「陰」は体の水分・潤い、冷却の働き。
夏の過労・睡眠不足・強いストレス・汗のかきすぎで「陰」が消耗。
特に更年期・ストレス過多の人・夜型生活の人に多い。
➡ 「陰虚」により体内が乾き、「虚熱」が生じる
→ 体内がオーバーヒート → 寝汗・のぼせ・イライラ・喉の渇き
🔎 典型的な症状例
寝つきが悪い・途中で目が覚める
寝汗が多い
喉が渇くのにあまり飲めない
舌：紅く、苔が少ない（陰虚熱）
🩺 適した漢方処方（例）
知柏地黄丸（ちばくじおうがん）
→ 腎陰虚＋のぼせ・寝汗・火照り
天王補心丹（てんのうほしんたん）
→ 精神不安・動悸・不眠
麦門冬湯：喉が渇き、乾燥性の咳がある人に
🍽 食養生・生活養生
陰を養う：白きくらげ、梨、緑豆、百合根、豆腐、スイカ、黒ごま
就寝1時間前はスマホ・ブルーライトNG
寝る前に白湯やハーブティーでリラックス
スパイス・辛味・アルコールは控える
🌟まとめ：
夏バテ＝単なる“暑さ負け”ではございません。
胃腸・気力・潤い…それぞれの体質が抱える“弱点”に、東洋医学は丁寧にアプローチします。
📌体質診断から処方・食事・生活アドバイスまで
※上記は一般的なもののうちのほんの一例です。
もし夏バテしっかり改善を、という方は是非専門の医師、漢方薬局などにご相談くださいませ。なお、もちろん、当店でもご相談お承りしております。上記処方はたくさんある処方のうちの代表的なもの数種にすぎません。ジャストフィットするかというと難しいかと思いますのでどうぞご注意くださいませ。
なお、当店へのご相談につきましては当HP のお問い合わせから、InstagramのDM、公式LINE、または店頭で、気軽にご相談ください🌿
夏、今一番暑い時期ですので気をつけて乗り切っていきましょう！
※次回は上であげました処方についての簡単な解説をいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
漢方薬局 The Herbalist
店主 拝